子を守ることよりほかは道楽と思ひいたれば心安らぐ
by 吉浦玲子
座右の銘という言葉があるが、この歌は数年来私の座右の歌というべきものだった。
作者は、シングルで一人息子を育てていた。「短歌人」所属。
ふたり暮しはさみしいなあと子は言ひてベーコンエッグのしろみを残す
凭れゐし子の離るればあつけなく軽くなりたるわが背伸ばす
「思ひ出」と七つの祐貴がだしぬけに語り出す痛ましきことも言ふ
子のためと言ひ訳のやうに働きてあと十年は生きてゆくべし
帰りきてここよりほかはなき家に子と敷かむとす布団二組
など子供を題材にした泣かせる歌がたくさんある。
この祐貴君ももうかなり大きくなっているはずだ。
子育てにかかりきる年月というのは、一生のうちでそれほど長くはないということが最近わかってきた。
そろそろまじめに作歌に励もう。31文字に集中していく感覚が鈍ってきている。明日は久しぶりに塔の横浜歌会に行く予定。