鉛筆が二本尖りて接近す小現実は冬の昼ごろ
by 岡部桂一郎 『一点鐘』
小現実という一連の冒頭の歌。
白日夢のような感じだろうか。鉛筆や紙や消しゴムとかの身近な文房具が、この人にはちょっと変な風に(シュールに?)見えたりするのかなぁと思ってしまう。
擬人法というのとも違う。人にたとえているのではなく、本当にそう見えるのではないか。と思わせてしまうところが、巧みさだろうか。いや、技法というより、対象物をじーっとよーく見つめている結果かもしれない。
決して、奇を衒っているわけではなく、さり気ない平易な言葉の定型である。
「冬の昼ごろ」という時間設定もうまい。