ペルシャから来し映日果(いちじく)の木の時間 火星が近づき遠のく時間
by 柴 純子 (塔2005年9月号)
塔入会1年未満の会員のコーナー、若葉集より。
思わず、「いちじく」を広辞苑でひいてしまった。無花果とも書くし、こうも書くらしい。
「いちじく」の名の由来(中世ペルシャ語が語源らしい。「インジークォ」)とか、花や実の奇妙なできかた、薬効など、いろいろ記載がありおもしろかった。世界的に最も古い果樹のひとつなのだそうだ。たしか聖書にも登場したはずだ。
作者は、いちじくにまつわるいろいろなことを知っているのだろう。背景にある歴史の長さ、神秘性を知って、あらためて木をながめてみた。下句がその感慨を十分支えていると思う。一首の構成も魅力的。