社会的な出来事をテーマにした歌を時事詠という。
大きな事件があるたびに私たちは、繰り返し流される映像にさらされる。その中でステレオタイプに陥らない歌を作ることは難しい。
2001年9月11日の同時多発テロのときも、たくさんの歌が作られた。どんな歌がよい時事詠なのかというのはよくわからないが、一番印象に残っているのは、一年後に作られた次の歌である。
ひとり子よいのちは数えざるものとぶらんこに揺れ九月十一日
by 江戸 雪 (塔2002年12月号)
言葉の凝縮とメッセージ性、そして詩情が見事と思う。
私自身はあまり時事詠は得意ではないが、当時こんな歌を作っていた。
摩天楼の崩落に見入るこのわれは巧みに対立を避けて生き来し
by curtaincall31 (塔2001年12月号)